2020/08/30
2020 SUPER FORMULA Rd.1 Motegi

SUPER FORMULAがコロナ禍で遂に開幕! ルーキー女性ドライバー タチアナ・カルデロン、デビュー戦で大健闘!!


全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、今季のSUPER FORMULAはカレンダーの大幅見直しを余儀なくされ、本来4月4、5日に鈴鹿サーキットで開催予定だった開幕戦が8月29、30日、ツインリンクもてぎに舞台を移し、主催者、関係者による万全の感染防止対策のもとで行われた。レースは通常の土曜日に公式予選、日曜日に決勝というスケジュールではなく、決勝日朝に公式予選を行うワンデーイベントとして実施された。


GRMのマネージメントのもと、コロンビア国籍の女性ドライバー、タチアナ・カルデロンが今シーズンからThreeBond Drago CORSE TEAM に加わり、SUPER FORMULAにフル参戦することになった。3月24、25日に富士スピードウェイで実施された公式合同テストでSF19の初ドライブを果たしたカルデロンだったが、その後はコロナ禍でテストもままならず、約5か月のブランクを経験することになった。

 

この間、自身の居住地(スペイン)もロックダウンされたカルデロンだったが、体力づくりのトレーニングを欠かさず行い、7月からはヨーロピアン・ル・マン・シリーズのトップカテゴリー、LMP2クラスで2戦に参加した(https://www.europeanlemansseries.com/pilot/9665?year=2020)。

 

こうした期間を経て、来日を果たしたタチアナ・カルデロンは、8月28日金曜日に2時間に渡って行われた公式練習に臨み、久しぶりのSF19を初めてのサーキット、ツインリンクもてぎでドライブした。改めてSUPER FORMULAマシンの素晴らしさに感動したカルデロンは、「ドライビングがとても楽しかった!」とセッション後、興奮気味に語った。

 

 

翌8月29日土曜日には午前、午後各1時間のフリー走行が実施され、ここで本格的にマシンのセッティングへとメニューを進めていった。

しかし、8月30日日曜日朝に行われた公式予選では、タチアナはルーキーならではの苦戦を強いられ、タイムを伸ばせないままQ1で敗退してしまう(B組1分33秒227)。「タイヤを上手く温められず、ドライビングも酷かった」と悔しさを滲ませた。

 

 

 

 

 

そして、いよいよ2020 SUPER FORMULA第1戦、カルデロンにとって初の決勝レースへと駒が進められた。スタート予定時刻の14時15分時点の天候は晴れ、気温40℃、路面温度46℃。ドライバー、マシン、そしてタイヤにとって非常に過酷なコンディションとなった。

 

そんな中、カルデロンは35周にわたるレースへ。前方には百戦錬磨のベテランドライバー達も多い17台が控える中、最後尾から好スタートを見せた12号車のタチアナはライバル達に喰らいついてゆく。オープニングラップで戦列を離れた2台を尻目に、2周目からは16番手に順位を上げる。

 

 

 

その後、チームからの指示により、タイヤの摩耗でペースが落ちてきた17周終了時点でピットイン。クルーは素早い作業でタイヤ交換を行い、タチアナを再びコースへと送り出す。ここでタチアナは、チームの期待に応えて果敢なドライビングで好タイムを連発(ベストタイム1分36秒724はホンダエンジン搭載車で3位)。この絶妙な戦略と12号車の好走により、タチアナ・カルデロンは後半を12番手を死守しレースを進めた。

 

そして、なんと最終ラップには後方から迫る山本尚貴とバトルを展開。最終コーナー手前からオーバーテイクを狙うSUPER FORMULA2冠の山本尚貴を見事に抑え込んだタチアナ!この瞬間、場内では大きな歓声が沸き、紅一点で闘うドライバー、タチアナ・カルデロンの気迫ある走りに大きな称賛の拍手が送られた。そのままポジションをキープしたカルデロンは12位でチェッカーフラッグを受けた。

 

 

タチアナ・カルデロン
「まずは、SUPER FORMULAデビューを無事終えることができ、ほっとしています。このレースウィークに多くのことを学びました。それらは次戦以降に大きく役に立つことばかりなので、その点では満足しています。ただ、予選では本当にがっかりでした。タイヤの使い方や、戦略など反省すべき点が多くあります。とはいえ予選は常に難しく、課題がつきまとうもの。次戦ではこの経験を生かして、もっと上を狙います。

決勝レースは、最後尾からのスタートで、私たちは失うものはありませんでしたが、チームが素晴らしい戦略と見事なピットワークをしてくれたおかげで、ポイントこそ逃しましたが、12位で完走できましたし、最後の山本選手とのバトルもとても楽しめました。SFマシンで35ラップをプッシュし続けたのは初めの経験でしたし、気温が高く、自分のレースキャリアの中でも最もタフなレースでしたが、体力や精神力は大丈夫でした。それに、タイヤの摩耗などレース中に学べたことがたくさんあり、今後の自信にもつながりますし、とても良い週末になりました。


このような素晴らしいシリーズの大舞台に立つことを可能にして下さったDrago CORSEチーム、サポートして下さるThreeBond, BANDERO, KOEの各社様、そして関係のすべての方々に心から感謝しています。皆さんとこれからのシーズンを共有できることを本当に嬉しく思っていますし、沢山のファンが応援して下さるよう、良いレースをお見せしてゆきたいです!この後、私はフランスでル・マン24時間への参戦が控えていますが、次のSUPER FORMULA第2戦(9月26、27日、岡山国際サーキット)で、日本の皆さんとまたお会いできるのを楽しみにしています!」