アンドレア・カルダレッリ、今季初の嬉しい表彰台、アンドレ・クートは無念の4位フィニッシュ
2016 AUTOBACS SUPER GTシリーズで唯一の海外開催となる 第7戦「BURIRAM SUPER GT RACE」が10月8~9日、タイ王国ブリラム県のチャン・インターナショナル・サーキットにて行われた。
SUPER GTの開催が3回目となる今大会には、更に多くの現地GTファンが観戦に訪れ、エキサイティングなレースを楽しんだ。
(公式入場者数:10/7(金) 8,139人、10/8(土)24,249人、10/9(日)27,948人 延べ60,336人)
10月8日(土) 公式予選
前夜には激しい雨が降ったものの、朝の公式練習(10時00分~11時45分)は、曇り空のもと、ドライコンディションでセッションが進められた。開始時には28℃だった気温も、全1時間45分のセッション中に31℃まで上昇。そんな中、大会へエントリーしたGT500クラス15台、GT300クラス26台はそれぞれのマシンのセッティングを行っていった。
GT500クラスの6号車(WH70kg)、LEXUS TEAM LEMANS WAKO‘Sは先ず大嶋和也が乗り込みセッションをスタート。アンドレア・カルダレッリはロングランを行い、10番手となるタイム(1分25秒530)を記録してセッションを終えた。
一方、GT300クラスのディフェンディングチャンピオン、アンドレ・クートと富田竜一郎を擁するGAINERの0号車(WH48kg)はこのセッションで予選に向けたマシンのセットアップを煮詰め、ベストタイム1分34秒318(12番手)で公式練習を終えた。
やがてノックアウト方式による公式予選へとプログラムが進んだ。サーキット上空には厚い雨雲が1コーナー方面に見られたものの、セッション中に雨が降り出すことはなかった。
まずGT300クラスのQ1 (15時00分~15時15分)では、GAINER TANAX GT-Rの富田竜一郎が果敢なアタックを行い、1分33秒520のタイムを叩き出し、5番手で難なくQ2への進出を決めた。そのQ2(15時45分~15時57分)では、アンドレ・クートが0号車を操り、猛チャージ。クートはGT300クラスのコースレコードを更新する1分32秒949を記録。3位で公式予選を終えた。
アンドレ・クート
「今シーズンのベストポジションで終えることが出来た良い予選でしたね。マシンの状態も今まででベストでしたし、自信をもってアタックすることが出来ました。特に高速コーナーでは本当に思い切ってプッシュできましたよ。ペースも良いので、明日の決勝が楽しみです!」
また、GT500クラスのQ1(15時20分~15時35分)では、LEXUS TEAM LEMANS WAKO‘Sの大嶋和也が、渾身のアタックでコースレコードを破る見事なトップタイム(1分24秒462)を叩き出し、Q2を担当するアンドレア・カルダレッリへWAKO’S 4CR RC Fを託した。
しかし、そのQ2(16時05分~16時17分)では、アンドレアのタイムは伸びず、1分24秒809がベストで6番手に留まり、決勝は3列目からスタートすることとなった。
「ハッピーな予選とはなりませんでした。私が1コーナーと2コーナーでタイヤをロックさせてしまい3/10秒ロスしました・・・。私達にはフロントロウから決勝スタートするポテンシャルがあることは分かっていただけに、この結果にはガッカリです。でも、明日は長いレースなので、6番手からの追い上げをガンバリマス!」
10月9日(日) 決勝
湿度は高いものの、うす曇りのチャン・インターナショナル・サーキットは比較的過ごしやすいコンディションとなった。朝のフリー走行(9時50分~10時20分)ではLEXUS TEAM LEMANS WAKO‘Sのアンドレア・カルダレッリ/大嶋和也組は2番手タイム(1分26秒007)をマークしてマシンの好調さをアピール。両ドライバーのコメントも「完璧!」と決勝レースへの自信に満ちていた。
一方、GT300クラスでは、GAINER 0号のアンドレ・クート/富田竜一郎ペアが6番手(1分34秒559)。クートもマシンの仕上がりに手ごたえを感じ、決勝スタート時刻を待った。
そして、時刻は15時00分を迎え、いよいよ66周(約300km)にわたる決勝レースの火蓋がきられた。強い日差しに気温は33℃まで上昇し、まさにドライバーにとっては過酷な一戦となった。
WAKO‘S 4CR RC Fは大嶋和也がGT500勢の3列目からスタートをきった。オープニングラップを8番手で終えた大嶋は、抜きあぐねていたマシンを交わし9周目に7番手へ。その後、長い6番手争いを繰り広げた6号車は28周目にようやく前を行くマシンを交わして6位を奪回。その後1台のマシンがペナルティにより後退したため5番手に浮上。そして、33周を終えたところでピットインし、WAKO’sカラーの6号車はアンドレア・カルダレッリに託された。5番手でセカンドスティントを快走するアンドレアは、47周目に4番手をゆくマシンにプレッシャーを与え始め、遂に51周目にライバルのミスを誘い4位へ浮上!更にペナルティを受けたマシンを尻目に3番手へ!その後も好走を続ける6号車は、そのまま3位でフィニッシュ!アンドレア・カルダレッリにとってLEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sと共にゲットした今季初の表彰台となった。
アンドレア・カルダレッリ
「良いレースでした!4位狙いでしたが3位に入ることが出来ましたから。レースは大変ハードで、色々なことが起こり得たので、ともかくマシンを無事チェッカーまで運ぶことに集中しましたよ。でも、今日は本当にチームが良い仕事をしてくれ、ハッピーです。シリーズランキングも2位になり、もてぎへはこの良い流れを持っていきたいです!」
また、GT300勢の3番手からスタートをきったGAINER TANAX GT-Rのアンドレ・クートは、9周目に2番手に上がり、じわじわとトップのマシンとのギャップを縮めていった。やがて、トップのマシンはレースが24周にかかる頃、早めのピットイン。しかし、クートはトップに躍り出たところで、何とGT500の3台によるバトルで行き場を失い、その内の1台と接触!左フロントを破損してしまった。0号車はそのラップで緊急ピットインし、迅速なマシンの修復を行ったものの、順位は後退してしまった。
マシンを引き継いだ富田竜一郎は、5番手で粘り強いドライビングを続け、55周目には4位へ。そして最後まで走りきり、その順位でチェッカーフラッグを受けた。
「私たちは全てを優勝のために完璧に準備をしてきたのですが、終盤の最終コーナーで3台のGT500の激しいバトルに挟まれ、その内の1台がコーナー出口でハードブレーキングをしたため、接触が避けきれませんでした。不運なことにそこでフロントフェンダーにダメージを負い、せっかくのポジションから後退する結果になりました。優勝が狙えたレースだけに、本当に残念で、今は行き場の無い気持ちですが、これがレーシング・・・。それでも4位フィニッシュできたのは良かったこととして、次戦へ気持ちを切り替えて望みます」
SUPER GT第3戦(熊本地震により中止されたオートポリス大会の代替戦)およびシーズンを締めくくる第8戦は、11月12~13日(各日に予選・決勝開催)ツインリンクもてぎにて開催される。
Photos by TOSHIKAZU MORIYAMA