2015/09/20
SUPER GT Rd.6 Sugo

アンドレ・クートは6位入賞で、タイトルを大きく手繰り寄せる!アンドレア・カルダレッリは9位フィニッシュ

 

15gt6-1cornerシルバーウィークの始まった9月19~20日、仙台近郊にあるスポーツランド菅生を舞台に2015年AUTOBACS SUPER GT第6戦「SUGO GT 300km RACE」が開催された。前日までは不順な天候が続いていたが、レースが行われる週末は好天に恵まれ、予選から多くのファンがサーキットに詰めかけて、世界最速の“ハコ車レース”を心行くまで堪能していた。

(公式入場者数:9/19(土) 8,000人、 9/20(日)28,500人)

 

 

 

 

 

 

9月19日(土)公式予選

 

早朝には雲も多かったが、公式練習が開始される午前9時には、青空が拡がる秋晴れとなった。

 

15gt6-CAL3GT500クラスにLEXUS TEAM KeePer TOM’Sから参戦しているアンドレア・カルダレッリ/平川亮組は、先ずはカルダレッリのドライブでセッションをスタート。計測3周目に1分12秒765と、これまでのコースレコードを更新する好タイムをマーク。午後の公式予選に向けて手応えを掴むと、ここからは、カルダレッリと平川が交替しながら周回を重ね、主に決勝に向けてのセットアップを進め、6番手となる1分12秒510のタイムをマーク。まずまずの結果で終えることになった。

 

15gt6-COU1一方、GT300クラスにGAINERから参戦しているアンドレ・クート/富田竜一郎組は、これまでに2勝を挙げてランキングトップにつけているが、その分ウエイトハンディも大きく、何と累計138kg!…実際にはレギュレーションの上限である100kgのウエイトを搭載しているために、アップダウンの激しいスポーツランド菅生ではやや苦戦と予想されていたが、ベストタイムは富田がマークした1分21秒175で、この時点ではGT300 の27台中、14番手と中団でセッションを終えた。

 

そして、午後13時30分、ノックアウト方式による公式予選へと駒が進められた。

 

15gt6-CAL4GT500クラスでは、LEXUS TEAM KeePer TOM‘Sは、先ずはカルダレッリがQ1を担当。ここでカルダレッリは渾身のアタックを披露。午前中の自己ベストを大きく上回る1分11秒997をマーク、3番手でQ2を担当する平川にマシンを託した。ちなみに、Q2に進出した8台の内、カルダレッリがドライブしたNo.37 KeePer TOM’S RC Fは68kg(うち50kg分は燃料流量リストリクターを絞ることで調整)と重いウエイトハンディを課されており、カルダレッリの奮闘ぶりは明らかだった。Q2では、ウエイトハンディの影響か一つポジションを下げたものの、4番手につけ、翌日の決勝レースをセカンドロー/4番グリッドからスタートすることになった。

 

 

 

15gt6-CAL2アンドレア・カルダレッリ

「良い予選でしたね!Q1ではチームが用意したマシンはとても良く、明日の決勝を見据えたタイヤチョイスでしたが、予選でも良かったのでハッピーです!明朝のロングランでマシンをチェックし、長いレースへチャレンジします」

 

 

 

 

 

 

 

15gt6-COU7GT300の予選では、GAINER TANAX GT-Rを操りQ1を担当したクートが、自己ベストはもちろん、これまでのコースレコードを更新する1分20秒156までタイムを詰め、11番手でQ2進出を果たすと、これを引き継いだ富田がQ2では1分20秒361をマーク。クートのベストタイムには及ばなかったが、セッション8番手と3ポジションアップ。決勝レースでは4列目と好位置からスタートすることになった。

 

 

 

 

 

 

15gt6-COU2アンドレ・クート

「ウエイトハンディが厳しい中、8番手は悪い位置ではありませんが、上位のチームは強豪ばかりですから、明日はタフなレースになると思います。明朝のフリー走行できっちりマシンのセッティングを詰めて決勝へ挑みます」

 

 

 

 

 

 

8月30日(日)決勝

 

15gt6-grid秋晴れのもと、朝9時から30分間に渡ってフリー走行が行われた。ここで、アンドレア・カルダレッリが駆るNo.37 KeePer TOM’S RC Fは11番手(1分14秒341)、アンドレ・クートがドライブするGAINER TANAX GT-Rはクラス12番手(1分21秒497)となるタイムを記録していた。この朝のフリー走行は、チームごとにメニューが異なっているから、タイムからだけでは本番のレースを単純に読むことはできない。そしてクルマのフィーリングやバランス、タイヤのライフなどチェックすべきことは少なくない。そう言った意味からはカルダレッリもクートも、タイムの数字以上の手応えを得て、朝のフリー走行を終えることになった。

 

その決勝レースは午後2時から。この時点での気温と路面温度は、それぞれ26℃/38℃。タイヤには幾分厳しいかもしれないが、詰めかけたファンにとっては絶好の観戦日和となっていた。

 

15gt6-CAL6GT500クラスの4番手、セカンドローからスタートしたカルダレッリは、4番手で順調に走行。しかし、レースも3分の1を終えたところで大勢が大きく動いた。3位のマシンがトラブルから後退。さらにGT500の下位集団でアクシデントが発生。バックストレートでクラッシュしたマシンがコースを半分塞いでしまい、それを回収するためにセーフティカーが導入されたのだ。3分の1を消化していたから、ここは各チームは当然、ルーティンのピットインを早める作戦を執るはず。誰もがそう思ったに違いないがこの時点ではピットロードがクローズドされており、苛立ちを隠しながら、各車パレードラップを続けることになる。そしてピットロードがオープンすると同時に、ほぼ全車が一斉にピットイン。ピットは文字通り戦場のような混乱を見せた。

 

15gt6-CAL7カルダレッリも同様に、このタイミングでピットに向かい、パートナーの平川亮に交替する。ガソリン補給とタイヤ交換。ところがジャッキアップされた段階で、エンジンが完全には静止しておらず、タイヤが忙しなく空転する様がモニターに映し出された…。総てのピットワークを終え、カルダレッリと交替した平川は、結果的にそのまま3位でコースへと復帰した。そして平川が3位のポジションをキープしたまま、レースは終盤に入って行った。そこでピットイン時のミスについてドライビングスルーペナルティが通告された。頭を抱えるカルダレッリの姿が、場内のモニターに映し出されたが、こればかりは如何ともし難い、厳しい現実だ。結局、平川は最後まで粘り強く走ってチェッカーフラッグを受けたが、本来のポジションからは大きく遅れた9位入賞が精一杯だった。

 

15gt6-CAL1アンドレア・カルダレッリ

「タイヤは完璧ではありませんでしたが、マシンはとても良くドライビングは楽しめました。ペナルティが無ければ、3位表彰台は見えていただけに、本当にガッカリで言葉もありません…」

 

 

 

 

 

 

 

15gt6-COU3一方、GT300クラスにGAINER TANAX GT-Rで出走したクートは、スタートと前半のスティントを担当。ウエイトハンディが138kgにも達するため、決して無理はできないが、それでもクートはベテランらしく、ポジションをキープしたまま先を急いで行った。そしてセーフティカーが導入された後、ピットロードがオープンになると同時にルーティンのピットインを行っている。この全車一斉の“ピットワーク・コンテスト”ではチームが最高の仕事を披露。15gt6-COU4クートと交替した富田竜一郎をクラス11位でコースに送り出している。クートがキープしていた7番手からは幾分ポジションダウンした感もあったが、これはピットインのタイミングの問題で実際、ライバルが遅めのピットインをする度に富田はポジションアップし、数周の内にはクラス7位まで挽回することになる。

その後も富田は粘り強い走りを続け、結局6位でチェッカー。ランキングトップにつけるクートに5ポイントを授けることになった(参戦レース数の関係で、富田はランキング2位)。そしてクートは初のタイトルをさらに近くに手繰り寄せる結果となった。

 

15gt6-COU6アンドレ・クート

「6位は悪くない結果ですが、セーフティカー導入時のピットロード出口での混乱が無ければ、30秒は稼げてもっと上位にいけてた筈なので、ちょっと残念です。でも100kgのウエイトハンディでも、シリーズをリードしてるので、次戦のオートポリスでも気を抜かず、攻めていきます!」

 

 

 

 

 

 

次戦、SUPER GT第7戦は10月31日~11月1日、オートポリスを舞台に開催される。

 

Photos by TOSHIKAZU MORIYAMA