伝統の鈴鹿1000kmレース、アンドレ・クートが参戦100戦目を優勝で飾る!アンドレア・カルダレッリは8位でポイント獲得
真夏のビッグイベント、8月最後の週末恒例の耐久レース、2015 AUTOBACS SUPER GT第5戦「第44回インターナショナルSUZUKA 1000km」が8月29、30日、鈴鹿サーキットで開催された。
(公式入場者数:8/29(土) 26,000人、 8/30(日)34,000人)
GT300クラスのシリーズランキング1位のアンドレ・クート(GAINER TANAX GT-R)、GT500のランキング3位のアンドレア・カルダレッリ(LEXUS TEAM KeePer TOM’S)は、シーズン折り返しでの好成績を目指し、F1日本グランプリの舞台ともなっている世界屈指のテクニカルコース、鈴鹿へと乗り込んだ。
また、この大会は、2001年より全日本GT選手権(現SUPER GT)に参戦しているアンドレ・クートにとり、GT参戦100回目を記念する特別な1戦でもあった。
8月29日(土) 公式予選
前夜の大雨の影響で朝の公式練習(9時20分~11時10分)は、ウェット宣言が出されていたが、セッションスタート時には既にコースは乾き始め、GT500 クラス15台、GT300クラス 28台の合計43台のGTマシンはスリックタイヤを装着しての走行となった。(気温24℃、路面温度25℃)
GT500クラスの37号車、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sはアンドレア・カルダレッリと平川亮のペアがマシンのセッティングを進め、カルダレッリが1分48秒730のタイムを記録して10番手でセッションを終えた。
また、GT300クラス、GAINER TANAX GT-R(10号車)は、アンドレ・クート、千代勝正、富田竜一郎の3名のドライバーを擁し、この鈴鹿1000kmへ磐石な体制で臨んできた。その10号車はクートがGT300クラス10番手のタイム(2分00秒562)を記録し公式予選へとプログラムを進めた。
そして、いよいよ午後2時30分、どんよりとした曇り空のもと、ドライコンディションでの公式予選となった。
まずGT300クラスに公式予選1回目(Q1)(14時30分~14時45分)では、アンドレ・クートがGAINER TANAX GT-Rのアタッカーを務める。88kgとクラス最重量のウエイトハンディをものともせず、1分59秒839のタイムをマークして9番手でセッションを終え、上位13台による公式予選2回目(Q2)への出場権を確保。マシンを引き継いだ千代勝正は、そのQ2(15時25分~15時37分)で渾身のアタックを披露し、1分58秒600のタイムを叩き出して2番手に浮上! 日曜日の決勝レースでフロントロー・スタートをきめた。
アンドレ・クート
「私達にとって良い予選となりましたね。チームが良いマシンを用意してくれたおかげです。でも、明日は天候にもよりますし、マシンとタイヤを含めタフなレースになるでしょう」
一方、GT500クラスのQ1(14時50分~15時5分)では、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sを平川亮がドライブ。ところがセッション終了まで残り10分を切ったところで1台のマシンがS字コーナーでコースオフ。赤旗が提示されてセッションは中断となった。それでも平川は集中力を保ち、1分48秒258の好タイムをマークして6番手でセッションを終え、Q2への進出を果たした。
ウエイトハンディ60㎏を課されているKeePerカラーのマシンを操り、アンドレア・カルダレッリがQ2(15時45分~15時57分)のアタックを行い、1分48秒665のタイムをマーク。6位で予選を終えた。
アンドレア・カルダレッリ
「Q1からQ2の間にセッティングを変更したのがちょっと裏目に出てしまい、フロントグリップが足りず、悔しい結果となりました。でも、明日は長丁場のレースなので、対策を万全にして挑みます」
8月30日(日) 決勝
決勝日、朝から雨雲に覆われた鈴鹿サーキット。そして11時ごろになるとしとしとと降り出した雨でコースはすっかりウェットコンディションとなった。
通常の朝のフリー走行は行われず、11時08分から20分間にわたるウォームアップ走行が行われた。
そして、12:30(気温26℃、路面温度28℃、湿度68%)、ウェットコンディションのもと、173周のロングレースの火蓋が切られた。序盤、雨脚は一時強くなったが、レース開始2時間後にはその雨も止み、路面は徐々に乾き始めていった。
GT300クラス、フロントロウからのスタートドライバーを務めたニッサンGT-RニスモGT3(10号車)のアンドレ・クートは、路面コンディションとレインタイヤのマッチングに苦しみ、なんと最下位までポジションダウンを余儀なくされてしまう。その状況を見たチームは、GT500クラスのトップランナーが19周目に入ったところでクートに対してピットインを指示。自身の15周を終えたところでクートは早めのルーティンストップを敢行した。インターメディエイト・タイヤを装着したニッサンGT-Rには千代勝正が乗り込み、コースに復帰。千代は後方からの追い上げを開始した。
コース上はスピン、コースアウトするマシンやピットインするマシンが見られたが、それらを尻目にじわじわとポジションを挽回する千代は、35周目までに9番手、52周目には8番手へと浮上。その翌周に2回目のピットインを行い、マシンはサードドライバーの富田竜一郎へと託された。富田はその時点でのGT300のファステストタイム(2分08秒162)を叩き出しながら好走を続ける。そして2回にわたるセーフティカー導入(14時50分25~15時12分05、15時23分09~15時42分04)や、戦列を離れたマシンがあったことにも助けられ、89周目までに4番手まで順位を上げる。そして90周を終えたところでピットイン。富田から再びアンドレ・クートへとステアリングが渡された。
1回目のスティントではタイヤチョイスが合わずに不完全燃焼だったアンドレ・クートだが、ニッサンGT-RニスモGT3(10号車)を操り、激しくプッシュ!96周目にトップに躍り出た!
その後もGT300クラスをリードしていたGAINER TANAX GT-Rだったが、120周目、後方から猛追してきた7号車(Studie BMW Z4)の先行を許すことになった。その直後、クートはピットインし、最後のスティントを受け持つ千代勝正へとマシンが託された。10号車は速いピットワークにより7号車を交わして再び首位の座を奪還する。残り1時間となったレースでは2番手の7号車に迫られる場面もあったが、千代の猛プッシュは続き、じわじわとそのギャップを広げていった。そして、午後6時25分、GAINER TANAX GT-Rは、今季2勝目となるチェッカーフラッグを受けた。
アンドレ・クート
「最高の結果です!伝統の鈴鹿1000km、そして自分の100戦目を優勝で飾ることができて、一生忘れられない思い出となりました。チームが本当に良い仕事をしてくれ、僕たちドライバーもベストを尽くした、本当にチーム全員で獲得した勝利です!でも、次は100kgのウエイトハンディを背負っての勝負になりますから、気を引き締めていきたいと思います。これからも応援をどうぞ宜しくお願いいたします」
一方、GT500クラス、3列目からローリングスタートをきったLEXUS TEAM KeePer TOM’Sの平川亮は、序盤ペースが上がらず9番手まで後退。そのポジションで我慢の走りを続けた平川だったが、なんと31周目のデグナーカーブの2つ目でコースオフ!幸いマシンにダメージはなかったものの14番手まで順位を落としてしまう。そして37号車は33周を走り終えたところで1回目のピットインを行い、アンドレア・カルダレッリへとバトンタッチされた。雨脚が弱まったことも味方に、ハイペースでプッシュし続けるアンドレア。ところがレースが64周目に入ったところでGT300クラスの車両によるアクシデントがあり、セーフティカーが導入される。
そしてセーフティカーランが終了した直後に37号車はピットイン。スリックタイヤへと交換されたマシンには再び平川亮が乗り込み、コースへと戻った。平川は落ち着いた走りで104周目までドライブ。10番手で2回目のピットインとなった。続くアンドレアのスティントでは、117周目に9番手にポジションアップ。その順位のまま135周まで走行してピットイン。最後のスティントを担う平川亮へとマシンを託した。平川も最後まで諦めないドライビングを続け、8位で完走を果し、4ポイントを獲得した。
「今日のレースは、天候が読みづらくてタイヤ選択が難しく、またセーフティカー導入のタイミングで暗雲が分かれるような、本当にタフなレースで、僕達の望んでいたようなレースにはなりませんでしたね。自分のスティントではベストを尽くしてプッシュしましたが、大きく順位をあげることは叶いませんでした。残念です」
次戦、SUPER GT第6戦は9月19、20日、スポーツランドSUGOを舞台に開催される。
Photos by TOSHIKAZU MORIYAMA
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