2012/05/04
SUPER GT Rd.2 Fuji

雨に翻弄されたロングレース
クートとカルダレッリ、共に完走するもノーポイントに終わる

2012 AUTOBACS SUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」が、ゴールデンウィーク中の5月3、4日、富士スピードウェイ(静岡県)を舞台に開催された。
110周に及ぶ長丁場のレースは、マシン、タイヤ、ドライバーのパフォーマンスと各チームの戦略が勝敗の行方を左右する注目の一戦。天候には恵まれなかったものの、白熱したビッグレースに2日間で述べ83,000人ものGTファンが訪れた。

5月3日(木)、あいにくの大雨の中、朝の公式練習(9:00-11:00)が開始された。ヘビーウエットの路面コンディションにコースオフ、スピン、クラッシュするマシンが見られる中、LEXUS TEAM WedsSport BANDOH所属のアンドレ・クートはWedsSport ADVAN SC430を巧みに操り、GT500のみのセッション最後にトップタイム(1’45.138)を叩き出し、予選への順調な仕上がりをみせた。
一方、LEXUS TEAM KeePer Kraftのアンドレア・カルダレッリは走行を重ねる毎に徐々にベストタイムを更新していったが、雨脚の強まった10周目の1コーナー立ち上がりでスピンを喫し、マシンの左リアをコースサイドのタイヤバリアにヒットさせてしまった。

午後の公式予選1回目(Q1)には雨は弱まったものの、ウェットコンディションのまま、GT500のセッションが13:15より15分間で行われた。
WedsSport ADVAN SC430にはクートのチームメイト、荒聖治が乗り込み、トップ10台による予選2回目(スーパーラップ)への進出をかけ果敢にアタックする。だが荒はアンダーステアに苦しみ、残念ながら19号車のベストタイムは1’45.478で12番手となり、スーパーラップ進出はならなかった。
また、メカニックの迅速な作業によりマシンのダメージが修復された35号車LEXUS KeePer SC430のQ1を任されたアンドレア・カルダレッリだったが、セッティングを煮詰める時間を欠いたため、大きなアンダーステアーを解消すことができず15番手(1’46.559)にとどまった。


翌4日(金)、前日からの雨は上がったものの、セミウェットコンディションの中、朝のフリー走行(8:30-9:00)が行われ、クート/荒組のWedsSport ADVAN SC430は6番手(1’44.387)、カルダレッリ/国本組のLEXUS KeePer SC430は12番手(1’46.113)でセッションを終了。

そして、GT500 15台、GT300 24台によるSUPER GT第2戦、決勝スタート時刻(気温19度・路面温度23度)の14:00を迎えた。しかし、その10分ほど前から富士スピードウェイには雨がぽつぽつと落ちてきた。全車スリックタイヤのままセーフティーカー(SC)先導のもとローリングラップがスタート(SUPER GTスポーティングレギュレーション「SC後方からのスタート」となり、ローリングラップ中もレース周回に数えられる)。しかし、路面が徐々に濡れてきたことから、多くのチームがレインタイヤ装着を決め、各マシンは続々とピットへ戻りレインタイヤへの交換を行った。このSCラン(2ラップ)中にめまぐるしく順位が入れ替わる異例のスタートでレースへと進んでいった。

LEXUS KeePer SC430はアンドレア・カルダレッリが1回目のスティントを任され、自身にとって初の500kmレースをスタートした。15番手だった35号車もレインタイヤに交換した後、8周目に13番手、9周目に12番手へとポジションを上げて行く。だが路面が乾いてきた11周には35号車のアンドレアもスリックタイヤへの交換を行い、11番手でコースに復帰した。ところが、SC導入後のリスタート時の追い越しについての違反により、35号車にはドライブスルーペナルティが科せられてしまった。これによりアンドレアは痛恨の2ポジションダウン。その後40周目から国本雄資がLEXUS KeePer SC430のステアリングを握る。58周目、前を行くマシンがピットインしたことにより国本は12番手へ。そして、83周を終えたところで国本から2回目のスティントとなるアンドレアへとドライバー交代。終盤に降りだした雨でレインタイヤへの交換を行ったものの、LEXUS KeePer SC430のポジションが変わることなく12位でレースを終えた。

アンドレア・カルダレッリ
「長いレースでした。1回目のスティントは雨が降り出した際のピットインのタイミングに戸惑い、さらにペナルティも受けて序盤からペースを失ってしまいました。2回目のスティント終盤にレインタイヤに履き替えて追い上げを狙いましたが、結局雨はすぐにおさまり、それも叶いませんでした。このレースウィークは良い流れが作れませんでしたが、完走したことにより、更にいろいろな経験を積むことができました。」

一方、WedsSport ADVAN SC430のスタートドライバーとなった荒聖治は、フォーメーションラップでの混乱より14番手からレースを進める展開となった。しかし、雨が上がった11周目にピットインし、スリックタイヤに交換。その後、荒は25周目に35号車を交わして13番手に上がり、粘りのドライビングを続ける。40周を終えたところで19号車はアンドレ・クートに託された。しかし、タイムが大きく落ちてきたクートは57周目に予定外のピットインを余儀なくされ、14番手へと後退。先頭集団が65周目に入ったところでGT300クラスの1台がストレートエンドで激しくクラッシュしたことから、セーフティカーが導入されて5周に渡るSCランとなる。レースが再開されるとアンドレはトラブルにより戦列を離れた1台を交わして1ポジションアップし、13番手に就ける。80周を終えたところでクートから再び荒聖治へバトンタッチ。残り15周となったあたりから雨が降り出し、荒もレインタイヤへ交換する。だが順位に変動はなく、WedsSport ADVAN SC430の 荒はそのまま13位でフィニッシュした。

アンドレ・クート
「昨日の時点で今回は上位を狙える感触があり、マシンのバランスも良かったのですが、ピットストップが多くなったこともあってライバル勢とのギャップが開き、残念な結果となってしまいました。次のセパン大会(6月9-10日)に向けてはチームとしっかり対策を考えて行きます。引き続き応援をよろしくお願いします。」


TOPICS:
アンドレ・クートが骨髄バンク認知促進活動のPR
SUPER GTではクートの息子アフォンソが白血病を患い、ドナーからの骨髄提供が必要となったことをきっかけに、骨髄バンク認知促進活動を行っている。今年もアンドレ・クートはその活動を積極的にサポートし、骨髄移植を必要とする患者さんへの協力を呼びかけている。


Photos by T.Moriyama