2010/08/22
Super GT Rd.6 Suzuka

アンドレ・クート、真夏のロングレースを8位フィニッシュ

8月21~22日、SUPER GTは鈴鹿サーキットを舞台に繰り広げられるシリーズ第6戦“39th INTERNATIONAL Pokka GT SUMMER SPECIAL”を迎えた。この真夏のレースはシーズン中最も暑く過酷な長丁場(700km)の1戦だけに、毎年波乱が起こっている。今年もチームとドライバーにとって、一瞬たりとも気が抜けない厳しい戦いとなった。

今季ここまで苦戦を強いられているLEXUS TEAM SARDとGRMドライバーのアンドレ・クートだが、共にこの伝統の1戦を優勝で飾った経験がある。さらに今大会でのウェイトハンディは18kgと軽く、優位な展開が見込まれるだけに、表彰台を目標にレースに臨んだ。


8月21日(土)、連日30℃を越す猛暑が続く日本列島だが鈴鹿の暑さも強烈で、公式予選日当日も朝の公式練習(10:05~11:55)から気温は既に34℃(路面温度44℃)まで上昇。午後には路面温度は55℃にまで達した。レーシングスーツやヘルメットを着用するドライバーにとっては、酷暑との闘いも強いられることになった。
朝のセッションを9番手(1’58.316)で終えたDENSO DUNLOP SARD SC430。2人のドライバーは、13:25~14:20に行われた公式予選1回目に難なく基準タイムをクリアし、15:20から開始されるノックダウン方式の予選へと進んだ。各チーム2人(今大会は第3ドライバーの登録も可)のドライバーが交互に3回アタック(各10分間)を行うルールが採用され、39号車は平手→クート→平手でセッション1-2-3を進める作戦をたてた。まずトップ10台を決めるセッション1は、平手が最終ラップに8番手となるタイム(1’56.913)をマークして通過。次にトップ7台を選抜するセッション2ではアンドレが好アタックを見せて6番手(1’56.558)。そして16:25からの最終セッション3では平手が1’58.293のタイムを刻んで6番手で終え、LEXUS TEAM SARDの持つポテンシャルを披露する予選結果となった。
予選の後、18:30からは決勝のナイトセッションに向けた練習走行が30分に渡って行われた。


8月22日(日)、決勝日のプログラムは、先ず9:55に開始される45分間のフリー走行で始まった。気温33℃、路面温度44℃というコンディションの中、DENSO DUNLOP SARD SC430を含むGT500クラス13台、そしてGT300クラス23台のマシンが決勝に向けた最後のチェックなどを行った。このセッションで39号車はクートが6番手タイム(1’58.979)を記録していたが、後半に電気系統の異常が見つかり、チームはその修復を施して決勝を待った。

そして15;00、鈴鹿サーキットに集まった33,000人のファンの前で121周にわたるロングレースのスタートが切られた。気温37℃、路面温度は55℃を超える酷暑の中、DENSO DUNLOP SARD SC430のスタートドライバーを務めるアンドレ・クートは6番グリッドからクリーンなスタートを決める。グリッドポジションをキープしてコンスタントに走行を重ねるアンドレだったが、11周目のストレートエンドでは前を行く17号車(KEIHIN HSV-010)を鮮やかにパスして5番手へと順位を上げる。さらに19周目には上位を走行するマシンがピットインしたため4位に浮上。ところが23周目に再び17号車に交わされて5位へ。LEXUS TEAM SARDは26周を終えたところで1回目のピットインを行い、第2スティントを担当する平手晃平がステアリングを握ってコースへと戻った。
GT500クラス上位グループが1回目のルーティンストップを終えた33周終了時点での39号車の順位は7番手。平手は後方に迫る17号車を懸命に抑えていたが、40周目のダンロップコーナーで遂にパスされて1つポジションダウン。しかし平手はコンスタントなドライビングで周回を重ね、47周目には先行するマシンのピットインで再び7位へと順位を戻した。ところがその5ラップ後、フレッシュタイヤに履いてスピードに勝る32号車(EPSON HSV-010)の先行を許し、再び8位に後退。57周からは再びクートがDENSO DUNLOP SARD SC430を操る。全車が2回目のピットインを終えた時点で39号車のポジションは8位。アンドレは西日の眩しい時刻に入ったレース中盤を粘り強くドライビングするが、スティント後半にはタイヤの消耗が激しくスピードは徐々に落ち、86周目には後方の1号車(PETRONAS TOM’S SC430)にパスされてしまう。そこでチームはアンドレにピットインを指示。タイヤ交換、給油を済ませると平手を最後のスティントへと送り出した。そしてレースが90周目にかかる18:10になるとライトオンボードが表示され、全車ライトオンのナイトセッションへ。平手が操るDENSOカラーの39号車は8番手を死守して終盤を走り切り、真夏の暑いレースをフィニッシュした。

アンドレ・クート
「昨日の予選、今朝のフリー走行、そしてレースでは最も気温が高くマシンにも厳しいファーストスティントでもタイヤのパフォーマンスは良かったので、今日は最後まで攻めていけると思いました。ところが残念ながらそのようには出来ませんでした。正直ガッカリしています。」


Topics
アンドレ・クートは8月20日(金)、SUPER GTの注目若手ドライバー7人と共に津市にある三重大学医学部付属病院の小児科を訪問した。息子アフォンソと同じ白血病と闘う子供、他の病気で入院を余儀なくされている子供達を見舞い、SUPER GTのミニカーやDVDなどをプレゼントした。また決勝日には、鈴鹿サーキットのオフィシャルステージから詰め掛けたGTファンに向けて骨髄ドナー登録を呼びかけ、さらに骨髄移植推進財団への寄付を目的としたチャリティーオークションのプレゼンターも務めた。
アフォンソは骨髄移植後3ヶ月が経過し、自宅療養にて順調な回復をみせているが、アンドレは引き続きひとりでも多くの白血病患者に骨髄移植のチャンスがあることを祈り、SUPER GTと共に骨髄バンクの認知促進活動を進めている。

Photos by T.Moriyama