2010/07/25
SUPER GT Rd.5 Sugo

アンドレ・クート、悔しさ残る10位フィニッシュ。

2010 AUTOBACS SUPER GTも後半戦に入り、その第5戦「SUGO GT 300km RACE」が7月24、25日の両日、スポーツランドSUGO(宮城県)にて開催された。深い緑に囲まれたサーキットは、高低差に富み、中高速コーナーが大きいテクニカルなコースだけに、毎年レースは波乱に満ちた展開を見せている。今年もその白熱したレースの観戦に述べ38,500人のGTファンが集まった。
昨年は同じSUGO大会を2位でフィニッシュしているアンドレ・クートは、喜びを分かち合ったLEXUS TEAM SARDと僚友の平手晃平、そして今シーズンから加わっているエンジニア、リカルド・ディヴィラと共に、今季のターニングポイントとなるこの1戦へと挑んだ。

7月24日(土)、公式予選日も連日続く猛暑の中で行われた。朝の公式練習(9:00-10:45)は気温33℃,路面温度47℃というコンディションの中で行われ、39号車DENSO DUNLOP SARD SC430はGT500クラス13番手タイム(1’19.480)でセッションを終えた。
そして、午後の公式予選1回目、まず25分間のGT500/GT300の混走セッションにて各チームとも2人のドライバーが予選通過基準タイムをクリア。その後、10分ずつのGT300, GT500のアタックセッションと進んだ。ここで39号車のアタッカー、アンドレ・クートはニュータイヤで果敢にタイム更新を試みるもベストタイムは14ラップ目にマークした1’18.621で13番手のとどまり、スーパーラップへ進むことは叶わなかった。

アンドレ・クート
「朝のセッションではアンダーステアが強かったんですが、予選ではそれも修正されてマシンのバランスは良く、ドライビングしやすくなりました。でも、グリップが足りず予選タイムを伸ばすことが出来ませんでした。」


翌25日(日)、前日よりやや曇の多い空模様となったものの、朝のフリー走行セッションの気温は既に29℃(路面温度36℃)まで上昇しており、蒸し暑い決勝当日のスタートとなった。9:10からのセッションは1回の赤旗中断を経て10:16に終了。DENSO DUNLOP SARD SC430のクート/平手組は計31ラップを周回し、12番手(1’21.611)となった。

そして、14:00の決勝スタート時刻を迎えた。気温33℃(路面温度44℃)、雨の予報が出ていたがドライコンディションのもと、GT500クラス13台、GT300クラス23台によって戦われる81周のレースの火蓋がきられた。フリー走行でクラッシュした1台がピットスタートとなったため、アンドレ・クートが操る39号車は12番手からローリングスタートをきった。GT500クラスの後方から追い上げを図るクートは1分19秒台で快走。3周目に1号車(PETRONAS TOM’S SC430)を交わし、次の周には前方の2台が接触。スピンして後退したため、クートは9番手へと浮上した。そして11周目には上位の1台がスピンしたため、更にひとつ順位を上げて8位へとポジションアップした。しかし13周から14周目にかけ周回遅れのGT300勢に阻まれている間に後方から猛追してきた速いマシンにパスされ、DENSO DUNLOP SARD SC430は11番手まで後退してしまう。それでもコースでふんばるアンドレは、戦列を離れたマシンがあったため、17周目から10番手に就けてドライビングを続ける展開となった。
レースが1/3を過ぎる30周目にかかる頃になるとピットストップを行うチームがでてきた。また、38周を過ぎた頃からポツリポツリと雨が落ち始め、たまらずスピンするマシンも見られるようになった。しかし、アンドレ・クートは巧みなドライビングテクニックで危なげない走りを披露する。ところが、何と47周目のヘヤピンで39号車は32号車(EPSON HSV-010)にヒットされ、たまらずグラベルへとコースオフ。この接触で左リヤのタイヤがバーストしてしまい、アンドレはマシンをピットへ戻さざるを得なくなった。チームは好ペースを保つアンドレの走りから、1名のドライバーがドライブ出来る限度(レース距離の2/3=54周)近くまで引っ張るという戦略が、ここで狂ってしまった。
マシンを受け継いだ平手晃平は1週間前のフォーミュラ・ニッポン第3戦(富士)を制し、上昇気流に乗っている若手ドライバー。デンソーカラーのマシンをプッシュしながら10番手をキープしていたが、給油トラブルにより自身のスティントで更に2回のピットインを強いられることになった。その結果、ゴール1周前に11位へ後退したが、最終ラップに渾身の追い上げを見せて1台を交わして再び10番手に戻り、その順位でチェッカーフラッグを受けた。

アンドレ・クート
「予選含め、今日のレースも僕たちにとっては厳しい結果となりました。最初の数ラップはバトルも可能でしたがすぐにグリップダウンが始まり、ドライビングのリズムをうまく取れなくなってしまいました。32号車に当てられた時は衝撃が大きく、一瞬もう終わったか?と思いましたが、幸いピットに戻れたのでレースを続けることができました。もっと上位が見えていただけに10位フィニッシュの結果は悔しいです。」


TOPICS:
白血病に苦しんでいたアンドレ・クートの息子、アフォンソが骨髄移植後2ヶ月を迎えた。幸い深刻な合併症などを発症することもなく、現在は自宅から病院に通いながら療養を続けるまで回復している。但し、強力な投薬治療を受けていることに加えて、アフォンソの身体は病原菌に対する抵抗力がないため、生活スペースや食事などには細心の注意をはらう必要がある。それでもアンドレには徐々に安堵の表情が戻ってきている。そのアンドレは息子を救ってくれた骨髄ドナーへの感謝と共に、引き続き白血病と戦う多くの患者のために、今回のSUGOでもボランティアの人たちと共に骨髄バンクへのドナー登録を来場者へ呼びかけていた。

Photos by T.Moriyama
 Result, Ranking, informations: SUPER GT Official Website
LEXUS TEAM SARD