2008/08/24
SUPER GT Rd.6 Suzuka

アクシデントやトラブルを乗り越え、L.デュバル11位、A.クート15位

真夏の祭典、2008 AUTOBACS SUPER GT 第6戦“第37回 インターナショナル ポッカ1000km”が8月23~24日、鈴鹿サーキット(三重県)にて開催された。全9戦で戦われるシリーズ中、最も長丁場のレースだが、耐久レースというよりまさにスプリントレースであり、速さとチーム戦略の争いとしても厳しい一戦である。また、猛暑との戦いが想定されるため、チームにはレギュラー2名のドライバーに1名を加えた3人体制でレースに臨むことが許されている。
合計41台のGTマシンが6時間にわたり繰り広げるビッグイベントを見ようと、鈴鹿サーキットには延べ54,000人のファンが集まった。

GRMからこのレースに出場するアンドレ・クートは2005年の覇者。また、ロイック・デュバルもこのレースへの参加は3度目となる。

8月23日(土)、前日の3回にわたる特別スポーツ走行では晴天に恵まれた鈴鹿サーキットだったが、公式予選日は朝から冷たい雨と強い南東の風に見舞われ、気温23℃と季節はずれの肌寒い一日となった。幸い、予選1回目(GT500クラス)の時間帯となった10:10~10:30には多少雨足は弱まり、セッション後半にはコースのライン上は少しずつ水がはけて行く状況となった。

その中で、EPSON NSXのロイック・デュバルは、マシンのセッティングを調整しながらアタックを行い、ベストタイムは2’10.241。12番手となった。

ロイック・デュバル「ドライコンディションのもとで行われた昨日の走行では総合トップのタイム(1’55.470)を記録して良いムードだったんですが、今日の路面にはマシンを合わせきれず、ちょっと残念・・・。でも明日は長いレースで、色々なハプニングもあるでしょう。ともかく僕たちはチーム一丸となってベストを尽くし、上位フィニッシュを狙っていきますよ!」

また、DENSO DUNLOP SARD SC430(39号車)を操るアンドレ・クートもアタッカーとして積極的にトライしたが、2’10.359のタイム、13番手で予選を終えた。

アンドレ・クート「タイヤが温まりにくく、もう1周アタックのチャンスがあれば、トップ10内のタイムだったと思います。でもレースは明日。天候は回復するようなので、思いっきり攻めていきたいですね。」

(尚、午後に入り雨脚が一層強まり、回復の見込みがないため、予定されていた公式予選2回目とスーパーラップは中止され、公式予選1回目の順位がそのままスタートグリッドとされることとなった。)

8月24日(日)、明け方まで降り続いた雨は上がり、8:30からのフリー走行はセミ・ウェットとなった。 決勝スタート時刻は13:00。天候は曇り、気温28℃(路面温度32℃)、鈴鹿1000kmとしては涼しい中でのスタートとなった。

GT500勢では、2台のマシンがシャーシやエンジン交換を行ったため、規定により決勝はピットスタートや10グリッド降格となった。また、スタート前にトラブルが生じピットスタートを余儀なくされた2台があり、結果32号車は9番手、39号車は10番手から173周に及ぶ長い戦いへと挑んで行った。

白とブルーが美しいEPSON NSXはスタートドライバーを務めるロイック・デュバルは好スタートを決めて9番手をキープしたままレース序盤の周回を重ねて行く。そして18周目には前方を走るマシンの1台がトラブルで後退したため、ロイックは8番手へと順位を上げ、さらにその次の周には前を行く35号車(宝山KRAFT SC430)をかわし7番手へ浮上する。
その後、28周あたりから1回目のルーティンストップを行うマシンが多く見られるようになる。その中で、ロイックは33周を走り終えたところでピットイン。チームメイトの平中克幸選手にステアリングを託した。 全マシンが1回目のピットインを終えた時点(37周目)で32号車は8番手を走行。41周目にはGT300との軽い接触により9位へポジションを落とすが、平中選手はコンスタントなドライビングを続ける。しかし、54周目、後方の1号車(ARTA NSX)にリア右側をヒットされたEPSON NSXはシケインでたまらずスピン! マシンはダメージを受けたが、平中選手はマシンをピットに戻す。修復されて戦列に戻ったが、トップとの差は2ラップまで広がってしまった。

15:55、82周目にロイックが再びマシンに乗り込み2回目のスティントを開始。少しでもラップの遅れを取り戻すため、ロイックは2’00フラットのハイペースでドライビングを続ける。やがて1ポジションを上げたロイックは12番手で114周を終え、32号車を平中選手へ。そして、鈴鹿サーキットに夕闇みが迫ってきた18:00過ぎ、131周目からチェッカーまでをロイックが担当し、11位で完走した。

ロイック・デュバル「最初のスティントではいい感じでポジションを上げていったのですが、アンラッキーなアクシデンが起きてしまいました。でも僕たちのチームのポテンシャルからすれば、そこからの挽回は可能だったと思います。それが出来なかったことは課題として残りました。これからその分析と次戦への対策を立てます。」

DENSOカラーの39号車のスタートを担当したアンドレ・クートは、序盤安定した走りで10~11番手をキープ。そしてロイック・デュバルと同じ33周でピットインし、1回目のスティントを終了した。ステアリングを受け継いだ高木虎之介選手もなんとか10位を守る。しかし、何と44周目に39号車にステアリング系のトラブルが発生。ピットで懸命な作業を行ったチームは対策を施し再びマシンをコースへ送り出した。ここから75周目までのスティントは今大会3人目ドライバーとして起用された嵯峨宏紀(サガ コウキ)選手が担当。そしてその後は再び高木選手へとリレーされた。しかし後半にさしかった94周目に再びトラブル(ミッション系)が生じ、マシンは再びガレージへ。修復されたマシンと共に嵯峨選手がコースへ復帰、最後はアンドレ・クートがヘッドライトにコースが照らされるナイトセッションを担当し、15位で長丁場のレースを終えた。

アンドレ・クート「最後のスティントはマシンも良く、ドライビングを楽しめました。今回、残念ながらメカニカルトラブルが出てしまいましたが、僕たちは最後まで走り、多くのデーターを集めることができました。こうした蓄積をもとに、どんどん良いセッティングを見つけてゆきたいですね。次戦もがんばります。」

次戦、SUPER GT 第7戦は9月13-14日、ツインリンクもてぎ(栃木県)にて開催される。

Photos by T.Moriyama