2008/05/04
SUPER GT Rd.3 Fuji

L. デュバル7位、
A. クート13位フィニッシュ

2008 AUTOBACS SUPER GT第3戦の舞台は、世界最長の約1.5kmストレートと最終コーナーに向けてのテクニカルセクションが特徴の富士スピードウェイ。そして恒例どおりこのレースは500kmの長丁場で争われるため、燃費やタイヤを考慮しながらの戦略、ドライバー達の集中力など、まさにチーム力が問われる1戦だ。

F1も開催されるこのコースで2年連続の最終戦優勝を飾っているNAKAJIMA RACINGのロイック・デュバル、そして、シリーズ参戦5年目を迎えるTOYOTA TEAM SARDのアンドレ・クートは、それぞれのチームでベストを尽くした。

5月3日(土)、公式練習が行われた前日からの雨はすっきりとは上がらず、公式予選1回目は、雨は止んだもののウェットコンディションのもとでスタートした。しかし、10:20からスタートした20分間のGT500クラスのためのセッション終盤では、降り始めた霧雨が所々止み始め、コース上も一部乾き始めた。こうした微妙な路面の変化を読み、DENSO DUNLOP SARD SC430 39号車はレインタイヤからスリックタイヤへスイッチ。この絶妙なタイミングと、非常に滑りやすい状況下でマシンを巧みに操ったアンドレ・クートがトップタイム(1’40.985)をマークした。

また、このタイムに続き、2番手に名前を連ねたのは、EPSON NSX 32号車のロイック・デュバル。3周目にレインタイヤで果敢にアタックして叩きだしたタイム(1’41.115)だった。こうしてGRMのドライバー2人はともにスーパーラップへ難なく進出した。

そして15:10からの公式予選2回目を経て、スーパーラップが開始された。午前中の雨もすっかり上がり、GT300とGT500 クラスの1回目予選上位各10台によるタイムアタックはドライコンディションのもとで行われた。

GT500勢の9台目に出走したロイック・デュバルは果敢に攻めるも1’35.650のタイムで7位に留まった。「マシンのバランスが完璧じゃなかったね。アンダー・オーバーのマシンにちょっと苦しんで悔しい結果になった。でも明日は長いレースだし、僕達はハード目のタイヤをチョイスしているので、ミス無くいければ勝率は高いと思うよ!」と語るロイックのモチベーションは高い。

また、最後の出走となったアンドレ・クートも完璧なアタックができず、1’35.797で8番手に甘んじた。「1回目の予選はタイミングがぴったりはまって最高のポジションだったね。でも2回目はオーバーステア気味でマシンが暴れて、存分なアタックができなかったよ・・・。でも、勝負は明日。チームと一丸になってベストな成績を残したいね」と予選後にコメントした。

 

5月4日(日)、ゴールデンウィーク真最中の今大会。朝から好天に恵まれ、気温は初夏を思わせるほど上昇した。富士スピードウェイには、約57,000人におよぶGTファンが集まり、見ごたえのある迫力満点のビックレース「FUJI GT 500km RACE」を満喫した。
決勝スタート時刻は14:00。上空にはやや雲が広がり始めていたが、雨の心配はなく、気温24℃(路面温度32℃)。GT500クラス16台、GT300クラス26台が500km 先(4,563m×110Laps)のゴールを目指し、一斉にスタートした。

ブルーと白のEPSONカラー 32号車はロイック・デュバルがスタートドライバーを務める。デュバルは先ず7番手のポジションに就ける。そのすぐ後方8番手には白と赤DENSOカラーの39号車、アンドレ・クートがぴたりと続く。しかし3周目にはその順位は入れ替わり、アンドレがロイックの前に出る。更に2人のGRMドライバーはハイペースで走行し、前方のマシン1台をそれぞれ攻略し39号車6番手、32号車7番手に順位を上げる。やがて19周目、今度は32号車ロイックが31号車アンドレを激しく攻め、ついに抜き返す。こうした熱いバトルが詰めかけた大観衆を魅了し、レースは中盤へと向った。

しかし、DENSO DUNLOP SARD SC430のタイヤ磨耗が進み、アンドレは懸命な走りを続けるが、40周目に1回目のピットイン。タイヤ交換・給油を行い、そのままアンドレがドライビングを続行。しかし、このピットインの際、タイヤ交換の規則違反があり、ドライブスルーぺナルティを課せられてしまう。更に、39号車はリアタイヤのグリップダウンから59周目に2回目のピットを強いられる。そこでもドライバー交代は行われず、アンドレは再びコースへ。

予定外のピットストップなどもあり、タイムロスが大きくなった39号車に更なる不幸が襲いかかった。何とアンドレに黄旗区間での追い越し違反として、ぺナルティストップ(10秒)が課せられてしまったのだ。こうした苦難を乗り越え、73周でアンドレは13番手でチームメイト、高木虎之介選手にマシンを託し、自己のスティントを終えた。その後、高木選手も我慢の走りを続け、そのまま13位でチェッカーフラッグを受けた。

アンドレ・クート 「序盤プッシュを続け、いいポジションにいましたが、徐々にリヤタイヤがグリップダウンしていきました。更に、ぺナルティとなった黄旗は、数台のマシンのブラインドとなって、僕からは全く見えない場所で表示されていたので、これもアンラッキーでした。でも長いレースを完走し、その中で得られたデーターは貴重です。次戦、常夏のセパン戦では更に進化した僕達のレースを披露したいですね!」

一方、アンドレ・クートをパスした31号車のHONDA NSXを操るロイック・デュバルは、6番手をキープしながら持ち前のアグレッシブな走りで周回を重ねてゆく。37周で1回目のピットイン、タイヤ交換・給油を済ませ、再び戦列に戻った。やがて4番手で前方を行く18号車をパスするチャンスをうかがっていたロイックは、ついに47周目のストレートでサイドbyサイドからオーバーテイク!

4位に上がって1コーナーへ突入。しかし、そこで痛恨のスピンを喫し、ポジションを一つ落としてしまった。
その後、コンスタントなラップを重ねて70周で再びピットイン。残りのスティントを担当した平中克幸選手もステディな走りで完走し、EPSON NS 32号車は7位でレースを終えた

ロイック・デュバル 「マシンはややアンダー・オーバー気味で、ドライビングは決して楽ではありませんでしたが、ハイペース&コンスタントな走りをすることに集中して頑張りました。唯一、僕のミスでスピンしまったのは悔しいです。マシンをコントロールできるスピードではあったのですが、縁石にちょっと乗ってしまい・・・失敗してしまいました。」

SUPER GT第4戦は6月21日-22日、マレーシア(セパンサーキット)にて開催される。

Photos by T.Moriyama