A.カルダレッリ、4位入賞でランキング2位を死守。オリバー・ジャービス、不運を乗り越え7位フィニッシュ。
10月3~5日、タイ王国の北東部、ブリーラム県に新設されたChang International Circuitを舞台に2014年AUTOBACS SUPER GT第7戦「BURIRAM UNITED SUPER GT RACE」が開催された。
開催直前に完成したばかりの同サーキットはこの大会がこけら落とし。世界的にも注目度の高まっているSUPER GTの初開催とあって、多くのタイのモータースポーツファンがサーキットに詰めかけ、週末を通じて迫力ある高速バトルを堪能した。
(入場者数:10/3 13,426人、10/4 42,597人、10/5 75,168人。週末を通じての合計は131,191人)
10月3日(金) 練習走行
今季唯一の海外戦であり、SUPER GT初開催のサーキットとなることから、午後3時から2時間にわたる練習走行が行われた。気温34℃(路面温度54℃)のドライコンディションのもと、GT500クラス15台、GT300クラス22台の各ドライバーは、始めてドライビングするコース(全長4554m)のレイアウトや路面状況を確認しながらマシンのチェックを行った。
LEXUS TEAM SARDのオリバー・ジャービス/石浦宏明組はGT500クラス9番手(1分27秒464)、ランキング2位から逆転でタイトルを狙うLEXUS TEAM KeePer TOM’Sのアンドレア・カルダレッリ/伊藤大輔組は13番手(1分27秒831)で、最初の走行を終えた。
10月4日(土) 公式予選
公式予選日も終日好天に恵まれ、まず、午前10時から2時間に渡り公式練習が行われた。セッション開始時点での気温と路面温度は、それぞれ34℃と48℃(セッション中盤には56℃まで上昇)。
LEXUS TEAM SARDのオリバー・ジャービス/石浦宏明組は前日のタイムを1秒以上も更新し、クラス7番手(1分26秒208)、一方、ウェイトハンディ(燃料リストリクター1ランクアップ)によりトップスピードに欠くLEXUS TEAM KeePer TOM’Sのアンドレア・カルダレッリ/伊藤大輔組は、ギアのマイナートラブルにも見舞われ、渾身のアタックラップを取れず、前日のタイムを更新したものの15番手(1分27秒022)に留まっていた。
そしてサポートイベントの予選とピットウォーク、そしてオープニングセレモニーを挟んでいよいよSUPER GTのQ1とQ2からなる“ノックアウト”方式の公式予選へとプログラムは進んだ。
GT300クラスのQ1に続いて午後3時15分から始まったGT500クラスのQ1は15分間。39号車DENSO KOBELCO SARD RC Fは石浦宏明がQ1を担当。1分25秒540までタイムを詰めて5位でQ1突破を果たすことになった。
そして、Q2を担当したオリバー・ジャービスは1分25秒353を叩き出す。ここまでチームがマークしていたベストタイムを更新する見事なタイムアタックで、レスサス勢でもトップタイムとなったものの、ライバルの速さが上回り、結果的に6番手。日曜日の決勝レースを3列目からスタートすることになった。
オリバー・ジャービス
「LEXUS勢のトップで終わり、ベストを尽くした予選結果なので満足しています。今朝のロングランでは良い感触を得ているので、明日の決勝を楽しみにしています。」
一方、アンドレア・カルダレッリがQ1を担当した37号車 KeePer TOM’S RC Fだが、アンドレアは渾身のドライビングで1分26秒110まで詰め、一時は4位につけていたもののセッション終盤にライバルの多くがタイムアップ。結果的に13番手でセッションを終えQ2への進出は叶わなかった。
アンドレア・カルダレッリ
「 ハンディのあるマシンに対処すべくセッティングを色々変更して予選に臨みました。そして少し改善されたマシンでのQ1アタックとなりました。結果は13番手でしたが、限界のアタックをした結果なので悔いは残っていません。明日は後方からポイントリーダーの23号車(予選3番手)を追い上げるタフなレースとなりますが、ダイスケと共にプッシュしますよ!」
10月5日(日) 決勝日
決勝レース当日も青空に恵まれ、午前9時50分から30分間、フリー走行が行われた。前日の公式予選では、GRMドライバーがドライブする2台のLEXUS RC Fはポールポジションを逃したが、決勝レースに向けてマシンの最終チェックをするこのセッションではオリバー・ジャービスと石浦宏明のペアがドライブする39号車DENSO KOBELCO SARD RC Fが1分25秒873のトップタイムをマーク。アンドレア・カルダレッリがベテランの伊藤大輔とコンビを組む37号車 KeePer TOM’S RC Fも1分26秒129で3番手。ともに決勝レースでの逆襲に期待をつなぐことになった。
やがて午後3時を迎え、66周で戦われるSUPER GT 第7戦のスタートが切られた。
13番手の後方からスタートした37号車 KeePer TOM’S RC Fのアンドレア・カルダレッリは、渾身のドライビングで10周目までに10番手まで浮上。その後もじわじわと追い上げるアンドレアは、33周あたりからリーティーンのピットインをするライバルを尻目に果敢にドライビングを続ける。やがて38ラップでトップに立ったところで37号車もピットイン。そこで、何とチームはタイヤ無交換でピットストップ時間を短くする作戦を執り、給油のみで伊藤大輔をコースへ送り出した!アンドレア・カルダレッリの素晴らしい仕事、そしてその作戦が功を奏し、37号車はトップに踊り出た。しかし、ストレートが長くそして多いコースレイアウトではベテランの伊藤をも徐々に苦しめ、終盤ではスピードが勝るライバル3台に先行を許すことに・・・。その結果、PERTONAS TEAM TOM’Sは4位でチェッカーフラッグを受けることとなった。
「結果的には良い週末でした。厳しい条件でも4位入賞(8ポイントを獲得)を果たし、シリーズランキング2位を死守することができました。残念なのは表彰台を逃しチャンピオンシップのトップに戻れなかったことですが、そうするにはストレートスピードが足りなかったですね。レースウィークと通して、ライバルと比べトップスピードが遅い分、コーナースピードに照準を当てることにしました。そして私の前半のスティントではペースが良く、ピットストップでタイヤを交換せずP1まで順位を押し上げることが出来ました。最終戦もてぎではシリーズチャンピオンの座をかけ戦いますよ!」
一方、39号車DENSO KOBELCO SARD RC Fのスタートドライバーを任されたオリバー・ジャービスは、6番手からスタートをきったものの、何と6周目に1台のGT500のマシンにヒットされ、たまらずスピン!14番手にポジションダウンを余儀なくされた。しかし、ペースの速いオリバーはその不運を乗り越え、怒涛の追い上げをみせ、10周を過ぎる辺りでは早くも9番手へ、更に23周目までには6位にまでポジションを挽回。そしてレースも折り返しを過ぎた36周目、2位にまでポジションを上げていたオリバーがルーティンのピットイン。39号車もタイヤ交換をせず給油のみ済ませ、石浦宏明が39号車を受け継ぎコースへ戻った。しかし、レースが残り20周目となるころからタイヤの磨耗に苦しみ始め、徐々に石浦のペースが上がらなくなっていった。激しいバイブレーションと曲がらないマシンではさすがの石浦も太刀打ちできず7位まで後退。そして、その順位でレースを終えることとなった。
「本当にフラストレーションがたまっています。レースでのペースは信じられないほど良く、接触があったとしても表彰台フィニッシュできると思っていました。実際に今日表彰台にいた2台はスピン後追いつき、パスしたマシンでしたから、なおさら悔しい思いがつのります。それでも、最後ラップの最終コーナーでタイヤがパンクしたことを思えば7位でチェッカーを受けられたのはラッキーでした。」
SUPER GT 第8戦は11月15~16日、2014年シーズンの最終戦として栃木県にあるツインリンクもてぎにて開催される。
Photos by TOSHIKAZU MORIYAMA