A.カルダレッリ健闘の4位、O.ジャービスは不運な11位、そしてA.クートはGT300クラス19位でフィニッシュ
2014 AUTOBACS SUPER GT第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300KM」がオートポリス(九州大分県)にて開催された。阿蘇の外輪山に位置するオートポリスは標高900mという高地にあり、きついアップダウンと中高速コーナーの連続が特徴のサーキット。5月31日、6月1日両日ともに真夏を思わせるような暑さと晴天に恵まれ、GT500クラス15台、GT300クラス24台による白熱したレースが展開された。
この大会より、アンドレア・カルダレッリ、オリバー・ジャービスに加え、GRMドライバーのアンドレ・クートもPACIFIC DIRECTION RACING(GT300クラス9号車PORSCHE 911 GT3 R)に合流し、SUPER GTレースを戦った。
5月31日(土) 公式予選
朝から強い日差しが照りつける中、9時00分~11時12分まで公式練習が行われた。ここで各チームは午後の予選に向けてマシンのチェックを行った。このセッションで、LEXUS TEAM KeePer TOM‘Sのアンドレア・カルダレッリは5番手(1分36秒515)、LEXUS TEAM SARDのオリバー・ジャービスは11番手(1分37秒914)、そしてアンドレ・クートは初めてのマシン(国立音ノ木坂学院NACポルシェwith DR)のドライビングにもかかわらず、GT300クラス3番手(1分46秒944)となるタイムをそれぞれ記録した。
そして、午後2時15分(気温28℃/路面温度30℃)、GT500クラスの予選1回目(Q1)がスタートした。
37号車KeePer TOM’S RC Fは伊藤大輔が乗り込み、1分35秒726のタイムを記録して3番手となり、Q2へ難なく進出した。そしてQ2ではアンドレア・カルダレッリが1分35秒892のタイムで5番手となり、日曜日の決勝レースのスターティンググリッド3列目を決めた。
「Q1はうまく行きましたが、Q2はちょっと残念でした。明日の決勝を見据えてハードタイヤを選んだのですが、僕は初めてでちょっと驚き、ドライビングスタイルも変える必要がありました。ポジションは悪くありませんが、自分の中ではあと2/10秒から3/10秒速くしたかったので、不完全燃焼です。でも52kg相当のウエイトハンディ(50kg分の燃料流量リストリクターの絞込みと2kgのハンディウエイト)でもこの位置。ランキングトップの12号車にも近いので、明日は思い切って戦うのみです!」
一方、39号車LEXUS TEAM SARDは、石浦宏明がQ1のアタックを行ったが、ベストタイムは1分37秒424で、12番手でセッションを終了。
トップ8台で競うQ2を待つオリバー・ジャービスが予選アタックを行うことは叶わなかった。
オリバー・ジャービス
「残念ながら富士からのマシンの不調が改善されず、辛い状況です。色々な手を尽くしても速くなりません・・・。このままだと明日のレースは厳しい戦いになってしますので、明日までに何とか改善されることを祈っています」
また、GT500の予選に先立ち、午後2時から行われたGT300クラスの予選1回目では、アンドレ・クートがPACIFIC DIRECTION RACINGからアッタクドライバーの指名を受け、ぶっつけ本番で15分間のタイムアタックにチャレンジ。それでも1分47秒228のタイムをマークして13番手となり、Q2を待つチームメイトへとステアリングを託した。
そして、Q2(GT300クラスはトップ13台)では白坂卓也が国立音ノ木坂学院NACポルシェwith DRを操り、ベストタイム1分48秒388、12番手で公式予選を終えた。
アンドレ・クート
「予選では朝の練習走行と比べてアンダーステアになってしまい、マシンは良い方向にはなりませんでした。でも、Q2に進むことができてP12で終えられました。明日のレースはこのパッケージでベストを尽くし、またマシンについても多くのことを学びたいと思っています」
6月1日(日) 決勝
決勝日も薄曇りながら朝から爽やかな陽気となったオートポリス(気温25℃/路面温度31℃)。9時00分から30分間行われたフリー走行では、決勝に向けたマシンの最終調整や確認が行われた。
このセッションでのポジションは、37号車が11番手(1分39秒123)、39号車は12番手(1分39秒179)、そして9号車はGT300クラス10番手(1分48秒575)となった。
やがて時刻は午後2時(気温28℃/路面温度31℃)をまわり、いよいよ65周で戦われる決勝レースの火蓋がきられた。今大会でGRMの3人のドライバー達はそれぞれスタートドライバーを務めた。
GT500クラス5番手スタートとなったKeePer TOM’S RC Fのアンドレア・カルダレッリは、そのポジションをキープしたままレース序盤を走行。8周目に12号車(カルソニックIMPUL GT-R)を巧みにかわして4番手へ浮上する。15周目からは3番手争いの一角に加わり、次の周に1台をパス。しかし2台に先行され、18周目には再び5番手となる。その順位で29周を終えピットイン。
タイヤ交換・給油を済ませた37号車には伊藤大輔が乗り込みコースへ。36周目にはコースオフを喫した1台をかわして4番手を取り戻したLEXUS TEAM KeePer TOM‘Sは、終盤の戦いへと向かって行く。
しかし、レースが終盤へかかる49周目、1コーナーでのアクシデントによりセーフティーカー(SC)が導入される。そのSCランが解除されレースがリスタートしたのは残り9周となった時。レースが60周目にかかることからポイントランキング1、2を争う3番手の12号車とテール・トゥ・ノーズの攻防!そのままファイナルラップまで伊藤は3番手争いを演じたが、順位を上げることは叶わず、KeePer TOM’S RC Fは4位でチェッカーフラッグを受けた。
アンドレア・カルダレッリ
「とても接戦となったレースでした。僕のスタートは巧くゆき、序盤ターゲットの12号車にぴったりついて行きました。そのあと12号車、1号車を交わしました。しかし、リストリクターが絞られている僕達のマシンなので36号車に先行を許し、バトルしているGT300に行く手を阻まれ、抜きあぐねる場面もありました。でもラップタイムは悪くなくコンスタントな走りだったと思います。ダイスケも最後の最後までグッドジョブをしました。ただ、ピットストップでまたロスタイムが生じたことが悔やまれます。この問題は絶対に改善したい点です」
一方、グリッド6列目からスタートしたLEXUS TEAM SARDのオリバー・ジャービスは2周目に11番手にポジションを上げ、コンスタントなドライビングを続ける。
しかし、10周目の第2ヘヤピンで他車にヒットされる不運に見舞われてしまう! 14番手へドロップダウンしたオリバーは27周を終えるまで粘りのドライビング。そしてピットイン!
39号車を引き継いだ石浦宏明も苦しいポジションから後半の追い上げを余儀なくされたが、じわじわと順位を上げ、41周目には11番手に浮上。その後SCラン中の51周目にピットインし、タイヤ交換を実施。チームはフレッシュタイヤでの最後の追い上げに賭けた。
しかし、その猛追は及ばず、39号車DENSO KOBELCO SARD RC Fは12位でフィニッシュとなった(決勝終了後、ぺナルティを科せられたマシンがあったため、LEXUS TEAM SARDのレース結果は11位と記録された)。
オリバー・ジャービス
「チームのおかげで決勝ではクルマは良い方向が戻ってきて、スタートしてから1つ順位を上げて前について行けたし良いペースで上位を目指してドライビングしていました。でもヘアピンで追突され、さらに燃料がこないトラブルまで出てしまいました。本当に流れの悪い週末で、厳しい結果になってしまい悔しいです。でも、マシンも早さが戻りつつあるので、来月のSUGO大会ではこの雪辱を晴らしたいと思います!」
GT300クラスの12番手から初のポルシェでのレースに臨んだクート。9号車、国立音ノ木坂学院NACポルシェwith DRはオープニングラップで9番手へとポジションアップ。3周目には10番手に後退するが、クートは安定した走りでレースを進める。その後、17周目には9番手を奪回し、その順位で36ラップを走りきってピットイン。マシンを白坂卓也へと委ねた。
10番手でコースに戻った9号車は、戦列を離れたマシンを交わし、SC先導時には8番手へとポジションアップした。しかし、SCが解除された同車にとっての53周目、12番手へ後退。そしてT14で痛恨のコースオフを喫し、PACIFIC DIRECTION RACINGは19位でフィニッシュするにとどまった。
「私にとっては初のGT300レースでしたが、良い経験ができました。マシンは安定していてとても良く、ドライビングを楽しみ、ポジションをキープすることもできました。7~8位フィニッシュは見えていましたが、SC後のトラブルで残念な結果となりました。次戦ではもっと頑張りますよ!この週末でチームにもすっかりとけ込むことができたので、これからのレースが楽しみです」
次戦、SUPER GT 第4戦はSUGO(宮城県)を舞台に7月19-20日に開催される。
Photos by TOSHIKAZU MORIYAMA