2008/11/09
SUPER GT Rd.9 Fuji

雨に翻弄された最終戦
L.デュバル4位、A.クート5位でシーズンを締めくくる

ついにSUPER GTも第9戦(最終戦)を迎え、「FUJI 300km RACE」が富士スピードウェイで開催され、延べ73,600人のSUPER GTファンが今シーズン最後のビックイベントに魅せられた。
GRMドライバー、ロイック・デュバルは3年連続の優勝を狙い、またアンドレ・クートはダンロップタイヤとの新たなチャレンジの年となった今シーズンを締めくくる1戦に挑んだ。

11月8日(土)、天候は朝からあいにくの雨となり、ウェットコンディションのもとで公式予選第1回目が行われた。GT300クラス27台による予選セッションの後、10:30よりGT500クラスの16台が20分間のセッションをスタート。気温も11℃(路面温度13℃)とタイヤも温まりにくく、水しぶきが上がる滑りやすい路面と格闘しながら、ドライバー達は果敢に攻め、タイムを更新して行った。

その中で、EPSON NSXの32号車を操るロイック・デュバルは、「そんなに得意なサーキットではない」と言いつつも、2番手(1’45.305)のタイムで午後のスーパーラップへの進出を決めた。

一方、アンドレ・クートはDENSO DUNLOP SARD SC430 39号車でアタックを続けるも、14番手(1’46.655)に甘んじた。「ウェットな状況ではトップ10のタイムを刻んでいましたが、徐々に乾き始めたところでは、リアのトラクションが足りず、オーバーステア状態でタイムが伸ばせませんでした。セッティングが決められず残念・・・。」と悔しい表情のアンドレはコメントした。

午後、2回目の予選を経て14:55よりGT500クラス予選第1回目の上位10台によるスーパーラップが開始された。その時点で既に雨は止んでいたが、気温は12℃前後にとどまり、コースはウェット状態。各マシンともレインタイヤを装着してのタイムアタックとなった。9番目の出走となったロイック・デュバルは、アウトラップを好ペースで周回し、いよいよアタックに入った。しかし、富士スピードウェイの長いストレートエンドで何と痛恨のコースオフ! 直ぐにコースに戻ったもののこのミスによりタイムは1’45.008で10位にとどまった。ロイックは「ブレーキがロックしてしまい・・・ごめんなさい。せっかくのチャンスを逃し、本当に悔しい!」と自らのミスに苛立ちを隠せなかった。

11月9日(日)、天候は回復せず、富士山麓一帯は厚い雲に覆われていた。朝のフリー走行ではウェット宣言が出されていたものの、路面はほぼ乾いていたため、全車ドライタイヤでの走行となった。

やがてスタート時刻の14:00。直前にポツポツ降った雨のため路面は濡れ、各チームはタイヤの選択に悩んだ末、GT500勢の中では39号車、12号車(カルソニックIMPUL GT-R)がスリックタイヤを選んだのに対し、残りのチームはレイン(浅溝)タイヤを装着してグリッドについた。

気温12℃(路面温度10℃)の中、2周にわたるフォーメーションラップを経て、全42台による66周で戦われる2008 SUPER GT最終戦の火蓋が切られた。

10番手スタートのEPSONカラーの32号車、ロイック・デュバルはオープニングラップを9位で終え、周回を重ねる。しかし、路面は予想外の早さで乾き始め、他マシンと同様、4周目にはピットイン、レインからスリックタイヤへ履き替えて再び戦列へ戻った。やがて8番手を走行していたロイックは30周目にピットイン。その時点での路面状況は再びセミウェットだったため、後半を担当する平中克幸選手は浅溝タイヤを装着してコースへ。そこから平中選手は6番手で果敢な走行を続ける。38周目には周回遅れのマシンにひっかかりネッツコーナーでスピンを喫したものの、ポジションダウンには至らず、レースを継続。そして47周目には更に前を行くマシンをかわし、5番手へ。61周目には4位へ浮上すると、そのポジションを守り最終戦のチェッカーフラッグを受けた。

ロイック・デュバル 「昨日の予選は失敗しましたが、今日は自分のスティントをきっちり出来ました。表彰台までもう一歩のところまで行ったので今日の結果は残念でしたが、ヒラナカと僕もベストを尽くしたので後悔はありません。1シーズン、僕たちNAKAJIMA RACINGを応援してくれたスポンサー各社、ファンの皆さんに心から感謝しています。有難うございました!」

一方、7列目からのスタートをきったアンドレ・クートは、オープニングラップこそスリックタイヤでの走行のため最後尾へポジションを落としたが、他のマシンがタイヤ交換のため続々とピットインを強いられるのを尻目に、6周目にはトップに踊り出る。そこからDENSOカラー39号車のアンドレは力走を続けるが、ペースが伸びず18周目に2番手を走行していた12号車にかわされる。しかし、アンドレは渾身のドライビングで2位ポジションをキープしたまま、26周のスティントを終え、高木虎之介選手にステアリングを託した。ここで39号車はコースに出たものの、再び小雨が降り始め、各マシンは再びレインタイヤへ交換。その為に39号車も32周目に2回目のピットインを余儀なくされた。
こうしてDENSO DUNLOP SARD SC430 39号車は一時11位までポジションを落としてしまう。だが、高木選手は粘り強いドライビングを続け、徐々にポジションはアップ。そして54周目には見事なパッシングを見せて2台をかわし、何と6位へと浮上! 39号車はさらに1ポジションを上げ今シーズン最後のレースを5位入賞の結果で終えた。

アンドレ・クート 「スリックタイヤを選択した僕たちの戦略は悪くありませんでした。スタート直後は12号車を追って行きましたが、2周ほどでパスした後はマシンもとても調子良く、スムーズにトップへ踊り出ました。ただ15周目くらいからフロントのタイヤがきつくなり、アンダー気味になってしまいました。でも僕自身には余力がありました。あと2周ピットインを遅らせていたら、雨が降り出して僕たちも(12号車のように)レインタイヤに換えていたでしょう。そうすれば優勝、悪くても2位でこのレースを終えられていた・・・そう思うとちょっと悔しいですね。
ともかく今年は新たな課題、マシンとダンロップタイヤとのマッチングを色々試みる1年でしたが、最終戦はチームが一丸となって戦った良いレースで終わったので嬉しいです。長いようで短い1シーズンでしたが、いつも暖かく応援をしてくれた皆さんに感謝しています。」

Photos by T.Moriyama

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日本ではシーズンエンドを迎えたGRMドライバー達だが、彼らのレースはまだ続いてゆく。

マカオ在住のアンドレ・クートは1週間後に行われるFIA WTCC最終戦にN. technologyチームから参戦。ホンダ アコードを操り、マカオGPの覇者としてホームイベントにチャレンジする。

また、ロイック・デュバルは、A1 GPにフランス・チームのエースとして参戦する。既に2008/2009シーズンの開幕戦(10月4-5日開催、オランダ、ザンフォ-ルト)で1勝をあげているロイックは、11月22-23日に行われる第3戦セパンより再び母国チームと共にシリーズを戦って行く予定だ。