2008/08/10
Formula NIPPON Rd.6 Motegi

L.デュバル、迫力の走りでレース1を制し、今季2勝目を飾る!

全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦が8月9~10日の2日間にわたり栃木県のツインリンクもてぎで開催された。前回の鈴鹿大会に続き、2度目の2レース制、そして第2レースには第1レースの上位8台のスタート位置が入れ替わるリバースグリッドシステムが今回も採用された。
目下シリーズランキング4位のGRMドライバー、ロイック・デュバルは今季既にこのHONDAのホームコースで3位表彰台をゲット。今回はその表彰台の中央を、そして選手権ランキングでポジションを上げること目標に、もてぎ入りした。

連日35℃を超える猛暑に見舞われている日本列島。もてぎもその例外ではなかったが、公式予選が行われた8月9日(土)の気温は32℃(路面温度45℃)。風の心地良さも加わり、その暑さは若干和らいだ。まず10:30から30分間のフリー走行が開始され、午後に行われる公式予選に向けてドライバーとチームによる各マシンの最終調整が行われた。

前日の公式テストでは、納得の行くセッティングを見出せないまま、総合6番手(1’34.473)とやや出遅れていたPIAA NAKAJIMAのロイック・デュバルだったが、土曜日朝の走行で4番手(1’34.469)までポジションを挽回し、午後のノックアウト方式の予選へ挑んだ。
14:00から先ず16位以下をノックアウトする予選1回目(Q1、20分間)が開始された。ロイックは31号車のPIAAカラーマシンにフレッシュタイヤを装着してタイムアタック。その後、改めてそのタイヤを水で冷やしてもう一度アタックを試み、1’33.898というタイムをマークして3番手となり、難なくQ2へと進出した。その10分後から開始される2回目(Q2、10分間:9位から15位がノックアウトされる)では1’33.783のタイムで4番手。そして最終トップ8のグリッド順位が決定されるQ3へ進んだロイックは、渾身のアタックで1’33.718までタイムを更新。総合予選結果で3位となった。

ロイック・デュバル「昨日の公式テストでセッティングが煮詰めきれていなかったことを考えれば、今日の予選3位という結果は悪くないと思います。今朝のフリー走行でマシンが改善されたし、予選ではミスなくアタックできました。明日のレースではベストを尽くしてランキング2位まで一気に浮上したいですね。」

翌8月10日(日)、ツインリンクもてぎの上空は朝のフリー走行開始時から曇り空となり、気温も27℃(路面温度31℃)と猛暑もひと息ついた。そのフリー走行では2番手タイムだった31号車だが、ロイック・デュバルはブレーキがヒートアップするという症状を訴え、午後の決勝に向けてエンジニアと協議。対策を施してスタートを待った。

2レース制によりタイムスケジュールは通常より早められ、レース1(34周=約163km)のスタート時刻は12:45となった。陽射しが戻ったため、気温は30℃(路面温度42℃)まで上昇した。シグナルのブラックアウトとともに20台のマシンがスタート。グリッド3番手のPIAA NAKAJIMA 31号車のロイック・デュバルは、そのポジションをキープしたまま序盤のラップを重ねて行く。3周目からは2番手につける5号車(SG Team 5Zigen、金石年弘選手)を追い上げ、パッシングのチャンスをうかがう。しかし、パッシングポイントが少ないコースレイアウト、そして追い越しが禁止されるイエローフラッグが提示された区間もあり、数ラップは我慢のドライビングとなる。それでも7周目、3コーナーでようやく5号車を捕らえたロイックは2位へと浮上する。

そこからトップを行く1号車(LAWSON TEAM IMPUL、松田次生選手)とのギャップを怒涛の走りで縮めて行くロイック。2秒以上のあった2台の間隔は、15周目にはテール・トゥー・ノーズ状態となった。しかし、5コーナーで8番手争いをしていた2台のマシンが絡んだアクシデントが発生したため、15周終了時からセーフティーカーが導入され、レースは一旦クールダウンする形となった。そのSCランが3周で解除され、1号車と31号車のバトルが再び開始された。
SCランで一旦冷えたタイヤが再び温まったところで31号車の猛追が始まった。勢いに乗るロイックは、1号車を射程距離に捕らえ、虎視眈々とチャンスを待つ。そして25周目の90度コーナー、イン側に飛び込んだロイックは、ブレーキングを遅らせて1号車を豪快にパス! 見事トップに躍り出た。
そこからのロイックは、ペースを乱すことなくラップを重ね、28周目には自己ベストタイムを更新する快走を披露。そして34ラップを走り切って今季2勝目となるチェッカーフラッグを受けた。

約2時間のインターバルを経て、レース2(23周=約110km)が15:45にスタートした。気温はレース1より若干下がった(29℃、路面温度36℃)ものの、アスファルトの照り返しは強い。リバースグリッド制のため、優勝を果たしたロイックのグリッド位置は8番手。オープニングラップで7番手に上がると、4周目の1コーナーでは前方の7号車(Team LeMans、本山哲選手)をパスして6位へ。更に5位の48号車(CERUMO/INGING、立川祐路選手)の攻略を試み、テール・トゥー・ノーズの場面を何度も作る。しかしオーバーテイクには至らず、我慢のラップが続く。トップ6が膠着状態となったレースが動いたのは17周目。2番手のマシンがトラブルで戦列が去ったため、ロイックの31号車は5位のポイント圏内へと入った。ところが何とその直後の18周目にロイックのマシンが失速! PIAA NAKAJIMA 31号車はピットに戻ると、ロイックはそのままマシンから降りる。31号車はここで無念のリタイアとなった。

ロイック・デュバル「レース1では順当なスタートを切り、2~3周マシンの調子を見た後(マシンバランスの良さが確認できたので)、好スタートを切って僕の前にいた金石サンをパスするべくプッシュして行きました。彼をパスしたところで、SCカーが入ったのでちょっとひと呼吸入れられました。SC後はタイヤが汚れていたので直ぐにプッシュはできませんでしたが、マシンは好調なままだったので、残り10周は松田サンともクリアーなバトルができたし、うまくレースをマネージメントすることができました。レース2は、初めに1-2-3速が、そして最後は4-6速が無くなるギアトラブルで、どうすることも出来ませんでした。もう1~2ポイントは取りたかったので悔しいです。でも今日一日を振り返れば、ポイントリーダーの松田サンを制しての優勝、ランキング2位に浮上するという目的が達成できたことと、チームと良い仕事ができたこと・・・など、ポジティブなことが多く、良かったです。改めてチームや応援してくれたファンに感謝しています。」

次回のフォーミュラ・ニッポン第7戦は8月30~31日富士スピードウェイにて開催される。

Photos by T.Moriyama